秘密結社鷹の爪の垢団

TOHOシネマズをホームグラウンドに映画を年に100本以上観まくります。

事実よりリアルな戯曲『アメリカン・フィクション』☆☆+ 2024年第104作目


f:id:mucci:20240312191348j:image

作家のモンクは、なかなか新作を書けず、大学の講義で食い扶持を稼いでいたが、黒人差別の用語、Nワードを揶揄して使うので、学生や親から評判が悪く、休暇という名の事実上解雇を言い渡され、疎遠になっている実家を訪ねる

医者家系の実家。しかし、働き盛りの産科医の姉が心臓発作で急逝。年老いた母はアルツハイマーと診断される。整形外科医の兄は非協力的でゲイ

自分の本が本屋で黒人文学の棚に陳列されていて、そうではないと反抗するが、新進気鋭の黒人女性作家のベストセラー本は、別の大きな棚に飾られていた

悪巫山戯で別のペンネームで、いかにも黒人文学な文体で書いたFワードなタイトルの本が売れてしまい、映画化の話まで持ち上がる。逃亡犯の作者という触れ込みのためFBIが捜査を始める。更に自分が審査員メンバーを務める文学賞の候補にも上がる。いい感じになった、お向かいの女性とも、その偽名の本を読んでいることでギクシャク

果たして、この本の映画化の、ハマるラストシーンは?

差別は少なくなったとはいえ、依然、偏見は残り、そのテイストのステレオタイプな本が売れてしまうアメリカの実社会を、風刺と外連味たっぷりで描いた快作

この映画の脚本家が、ほらこんな感じで書いたら売れちゃっただろ?と、ほくそ笑んでる気がしてならない

アカデミー脚色賞を受賞した作品がAmazonオリジナルと知って、アマプラで早速観たら面白かった