秘密結社鷹の爪の垢団

TOHOシネマズをホームグラウンドに映画を年に100本以上観まくります。

犬も食わぬ公判『落下の解剖学』☆☆+ 2024年第81作目


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サンドラは売れてる私小説作家。自宅でインタビューを受けている時に上の部屋から、大音量の音楽が流れてきて、インタビューを後日にする

作業中に音楽をかけるのは夫のサミュエルの習慣で、彼は教職の傍ら自分も執筆しつつ、自宅を民宿に改装中

息子のダニエルは幼い頃の事故で視覚障碍で、父と自宅学習しつつ、週2回学校に通っている

ダニエルが愛犬を散歩させて帰ってくると、父が転落死していた。現場検証では自殺とも事故とも断定できる物証はなく、夫を殴り3階バルコニーから突き落とした疑いとして妻を送検する

曖昧な記憶と、不確かな供述、得手勝手な憶測。明確な物証のない中、検察は事件前日の夫婦喧嘩を夫が隠し録りしたUSBを証拠として提出する

父が過去に服薬自殺未遂したとされる日の後の愛犬の異常と、犬を動物病院に自家用車で連れて行った時の、父の意味深な言葉を証言台で話す息子

そして結審の日を迎える

152分の長編だし、公判の検事と弁護士の弁論も決めつけ口調で、証拠とされる夫婦喧嘩も揚げ足の取り合いで感情的で、聞くに耐えないから途中まで、いつ、どう着地するの?と苛つかされた

判決が出た時に、グッと来たが、結審したのに解放感のないもどかしさがラストまでしばらく続く。この余韻は実にフランス映画ぽい

アカデミー賞では5部門ノミネート。脚本賞あたりは取るか?カンヌのパルムドールも受賞してるらしい

フランス映画だが、主人公がドイツ生まれイギリス育ちということで、英語のシーンが多いし、英語のセリフの字幕には〈〉が付いてた

邦題は機械翻訳みたいでトンチンカンだが