女性で初めてベルリン・フィルで首席指揮者になったリディア・ター。コロナによるロックダウンの影響もあって、演奏の録音も、新作の作曲も捗っていなかった
意志の強い指示が、高圧的、利己的と誹謗されることもあった。情熱に溢れた指導なのか?パワハラなのか?
彼女の前に立ちはだかる、人種、年齢、性別、性的嗜好の思考の枷
毅然と立つ彼女の姿が、却って反感を買うことも
かつて指導した若手指揮者の自殺の訃報。メールは無視して、秘書には全削除するように命じていたが、それが残されていた
耳の良い彼女は、些細な音にも気を乱されてしまう。それは物音か?幻聴か?
古株の副指揮者を更迭したり、新人をソリストに抜擢するのを、恋愛感情のせいだと揶揄される
教え子の自殺は彼女が追い込んだと糾弾され、誹謗中傷がネットで拡散する。実際に圧力をかけていたのだから抗議の自殺だったのかもしれない
冒頭や途中に出てくる、盗撮動画と、そのコメントチャットは秘書の裏切りか
養女のペトラを共に育てて、精神的にも支え合っていたパートナーのシャロンとも仲違いしてしまう
字幕が男言葉なのは、レズビアンカップルの夫だからか?男社会の中で、文字通り「男勝り」に生きてきたからか?
傲慢なほどの才能溢れる指揮者の栄光と挫折…というよりは、すべてを失い、闇落ちせずに孤高に再起する話
ふつうなら、紆余曲折あって、最後はコンサート大成功で大団円なんだろけど、そんな型には嵌まらない作品