春は道を尋ねるふりをして、浮かない顔で座っている小雪に話しかける。「私、方向音痴なんで」目当ての店は休店日で、「美味しいお店は、また今度ね」と小雪の家でオムレツを振る舞われる。たぶん、その店は初見ではなく、馴染みの店
春に尾行されていることに気付いた剛は、春に声を掛け、昼からビールを交わしながら「失礼ですが、前にお会いしたことありましたっけ?」失礼なのはストーカー紛いの春なんだが…「中学生の時に、ホームで」
彼女の聴くテープには、川の音と母の鼻唄か?小雪のバイクに二人乗りして長野県上田市へ、母の面影を追う
「もう一度、小雪さんのオムレツが食べたくて」また自宅でオムレツを作ってもらい、別れ際の玄関で、小雪は春をハグして囁く「だめだよ」
おそらく、中学生の頃に母親を亡くし、駅で後追いしそうなところを、小雪や剛に救われて、世話になった二人を見守るつもりでいたのだろう
スタンダードサイズの画角と、環境音、間合いの長いワンカット。時折り、ピーンと鳴るピアノの鍵盤音。それが、明るく人当たりの良さそうな春の内面というか郷愁、物悲しさを際立ててる気がした
彼方は彼岸。此方は現実
川辺、プラットフォーム
私を私たらしめる存在は他人